いまだ存在する「うつ病は甘え」論~うつ病は心の問題だけではない
詩恭(しきょう)です。
私が最初にうつ病を患ったのは14、5年ほど前です。
その頃と比較すると、現在は心の病にスポットライトが当たる機会が増え、【メンタルヘルス】という言葉をもって、かなり世間に定着してきたと感じています。
そして2020年6月には、大企業でパワハラ防止法が施行されます(中小企業では2022年4月からの施行)。
パワハラが常態化し、改善が見られない企業は名前も公表されるそうです。
企業側での【パワハラが原因の心の病】へのケアも、進んでいかざるを得ない流れになってほしいものです。
ただ、その一方で、いまだに存在するんですよね。
「うつ病はその人の甘えた気持ちから起こる」と考えている加害者が。
そして「この程度に耐えられないなんて情けない」と考えてしまう被害者が。
気合いや精神論で、どうにかなるものではないんですよ。
うつ病にも後遺症がある。もちろん私にも。
「加害者とか被害者とか、ちょっと言い過ぎじゃない?」とあなたは思うかもしれません。
ですが、私は、決して言い過ぎではないと考えています。
少しだけ、考えてほしいんですよ。
うつ病は人生を棒に振る可能性があるのに、それが被害でなくていったい何だと言うんでしょうか?
うつ病を患ったのは事故かもしれませんが、程度の差こそあれ、回復には長い時間を要します。
ただ、回復の度合いは目には見えません。
身体症状はなくなっても、心にはしこりのようなものが残るんですよ。
言ってしまえば“後遺症”のようなものが。
私にもあります。
電話が苦手になりましたし、人に対しては少しだけ身構えるようになりました。
うつ病を患った人全員に後遺症がある、とまでは言いません。
が、何かしら影響があったことは間違いありません。
人に悪い意味で何かを与えてしまったのは、加害とは言わないのでしょうか?
それを、「うつ病は甘え」の一言で片付けてほしくない…と、いまでも私は考えるんです。
「うつ病は甘え」、二つの側面から見た結果
ですが、本当にうつ病になる人は「甘え」ているんでしょうか?
実はコレ、昔からの疑問でもありました。
私自身もうつ病経験者ですが、「うつ病は甘え」と言える根拠がいったい何なのか、知りたいなと思っていたんです。
私なりに調べてみたり、様子を見てみたりしているうちに、わかったことがありました。
- うつ病患者側から見た「甘え」
- うつ病でない人からみた「甘え」
コレが意外なほど似ているんです。
例として、うつ病の症状の一つ“身体が重くて動けない”を挙げてみます。
うつ病になると、肉体的疲労がなくても身体がだるく、動かなくなるように感じます。
そのため、よく眠れたとしても朝は起きれないし、目が覚めても身体が重く感じ、ただ天井を見つめているしかない、なんてこともあります(私もありました)。
うつ病でない人からすれば、そんな様子を見てどう感じるでしょうか?
「そんなに寝ておいて起きれないとか、なまけたいだけ」
「身体が動かないなんて、ただなまけてるだけだろ」
おそらくこんな感じでしょうか。
その一方で、うつ病患者はどう思っているかというと…
「昨日は十分寝たのに、朝起きれないなんてありえない、情けない」
「頭は起きてるのに身体が動かない。なんて情けないんだ」
特に重症の場合はこんなところかなと思います。
双方の共通点は、どちらも症状が出ているのを【心の問題だけ】ととらえていることです。
心がどれだけ沈んでいても、身体は別物だから何とでもなる、と考えているわけですね。
残念ですが、そうではありません。
身体と心はつながっているんです。
だからこそ、心のバランスが崩れた時に身体の調子も悪くなってしまうんですよ。
うつ病は「甘え」ではなく「心も身体も壊す」もの
既成概念が変わりつつあるいま、うつ病とはどんなものであるのか、も社会に認識されつつあります。
ですが、どんな場所にも自分の常識の枠をアップデートできない人がいるものです。
そういう人がいまだに「うつ病は甘えだ」と口にするのかもしれません。
これだけは断言します。
うつ病は甘えではありませんし、気合いや精神論でどうにかなるものでもありません。
うつ病は、人間の心も身体も壊す、危険な病気です。
病気ならば、回復するまで休養するのは当然ですよね。
だから、うつ病で苦しむあなたが、休養をためらったり、我慢したりする必要なんていっさいないんですよ。
あなたのつらさがわからない人のために、苦しむ必要はありません。
心も身体もあなたのものです。
それは忘れないでください。
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